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赤単ゴブリンスライの使い方


1.赤単ゴブリンスライとは

 まず、本記事で紹介するデッキの定義について。
 誤解されやすい部分やそもそも定義が明確に定められていない部分もありますので、
一旦ここで明確にします。

 "赤単の"、"ゴブリンの"、"スライ"と聞いて、過去に結果を出しているリストなどから
pauperに慣れた方が想像するものとしては、以下があるのではないでしょうか。

《ゴブリンのそり乗り》《ゴブリンの群勢》《モグの戦争司令官》など軽いゴブリンを横に並べ、
 《ゴブリンの奇襲隊》や火力呪文を絡めて殴り切るデッキ

デッキ1.PNG


→本記事で紹介するのはこちらです。
 小粒のゴブリンを迅速に並べ、"数の利"を活かしたアプローチで相手のライフを
 削り切ることを得意とします。


《ジャッカルの使い魔》《炎樹族の使者》《泥騒ぎの群勢》など軽い赤生物を横に並べ、
 《ゴブリンの奇襲隊》や火力呪文を絡めて殴り切るデッキ

デッキ2.PNG


→これは純な「赤単スライ」として、別物とします。
 カードやアクションの金太郎飴感が強く1枚ずつの単体で完結したカードパワーが高いことから、
 ゴブリンよりも安定感の面で優れる代わりに応用性は少し下がり、
 「いつもの動きで勝てれば勝ち、無理なら無理」というタイプのデッキです。
 最近、《リムロックの騎士》が採用候補として追加されました。


《ドラゴンの餌》《軍族童の突発》など軽いゴブリントークンを大量に並べ、
 《ゴブリンの奇襲隊》《衝撃の震え》《ゴブリンの集中攻撃》などを絡めて削り切るデッキ

デッキ3.PNG


→これは「ゴブリントークン」として、別物とします。
 ゴブリンスライと比べて速度は落ちますが、ブロッカーを気にせず削る手段が豊富なので、
 直接的なライフ回復手段が乏しい相手には刺さります。
 速度がない割にバーン対策・ウィニー対策・赤対策が全てガン刺さりしてしまうため、
 一瞬5-0だかの結果を出したリストがあり少し話題になって以降、結果を出していない印象です。


2.参考レシピ

・土地(17)
17《山》

・クリーチャー(34)
4《ゴブリンの群勢》
4《モグの徴集兵部隊》 ※ゴブリンの群勢の同型再版
4《鋳造所通りの住人》
4《ゴブリンのそり乗り》
4《モグの略奪者》 ※ゴブリンのそり乗りの同型再版
4《ゴブリンの奇襲隊》
4《モグの戦争司令官》
4《火花鍛冶》
2《ゴブリンの踵裂き》

・呪文(9)
4《稲妻》
4《ゴブリンの手投げ弾》
1《火炎破》

・サイドボード(15)
3《電謀》
2《鋭い痛み》
3《紅蓮破》
3《粉々》
4《シルヴォクの生命杖》

・メインボード採用候補
《忘れられた洞窟》
《激情のゴブリン》
《威嚇者の信徒》
《稲妻の連鎖》
《炎の斬りつけ》
《死の火花》
※マイナーなものやサイドボードの候補も含めてしまうと流石に多すぎるため、除いています。

 戦術そのものはある程度定まっているものの、細かい勝ち方や採用パーツに関しては
選択肢が多いため、個人的には75枚で完全に決め打つよりも90枚くらいの"いつもの"を揃えてから
75枚を環境などに合わせて適宜選ぶような形が良いように思います。



3.基本的な戦術

 基本的な戦術は以下になります。

戦術.JPG


①削りつつ、全力展開によって盤面に枚数差をつける
・1マナで盤面にクロック太い+1できる《ゴブリンの群勢》《モグの徴収兵部隊》《鋳造所通りの住人》
・2マナで盤面に+3できる《モグの戦争司令官》
・2マナで毎ターン相手盤面に-1できる《火花鍛冶》
・3マナで盤面に+1しつつ、相手盤面を実質-1できる《ゴブリンの踵裂き》
 は、このために採用されています。
 可能であれば殴って削りつつ、全力で展開しましょう。
 また、③のために残す場合もありますが、《稲妻》もこの目的で相手生物に使うことが多いです。

②数の利を活かしてライフを削る
・数が多さがそのまま全体強化の価値になる《ゴブリンの奇襲隊》
・横に並んだ打点を好きなところに寄せられる《ゴブリンのそり乗り》《モグの略奪者》
 は、このために採用されています。
 ①で得たボードアドバンテージを、どんどん活用してライフアドバンテージに両替していきましょう。

③(②で終わらなければ)火力で締める
 《ゴブリンの手投げ弾》《火炎破》は、このために採用されています。
 手札の火力枚数を参考に、「②のアプローチで何点削らなくてはいけないのか?」を考えましょう。

 動きの具体例として、最高のブン回りを決めた場合の動きを以下に記載します。

ブン回り.JPG


 実際は、この引きをできたとしても相手の除去なりブロッカーなりによって邪魔はされて
しまいますので、3ターンキルはあまり現実的ではありません。
 言い方を変えるならば、何もされなければ3ターンで勝てる速度であることから、
相手に対応を強いるデッキであると言えます。

 その相手のブロッカーや除去を乗り越え戦う上で重要でありつつ運用を間違えられやすい
《ゴブリンのそり乗り》《モグの戦争司令官》について、以下別章で解説します。



4.《ゴブリンのそり乗り》について


 基本戦術の①で得るボードアドバンテージは、盤面を制圧して相手を投了させるためではなく相手のライフを削るためのものなので、
そのためであればいくらでもチャンプアタックや《ゴブリンのそり乗り》の生贄でボードアドバンテージを失う覚悟を決めましょう。

 そもそも、1/1を並べまくるデッキで単なるボードアドバンテージ対決に勝てる相手は(《火花鍛冶》を除去できない相手でない限り)
少ないので、
「こちらの行動目的は常に相手のライフを削ることである」という本質を忘れないことが大事です。

ゴブリンのそり乗り.PNG


 具体的な例として、極論にはなりますが、
・こちらの盤面が《ゴブリンのそり乗り》4体
・相手の盤面が《ウラモグの破壊者》3体
 だとしても、総攻撃してからブロックされた3体を生贄に捧げて
ブロックされなかった1体に乗せれば、4点のダメージを通せます。
 例えば相手のライフが12であれば、これに追加で《稲妻》《ゴブリンの手投げ弾》で勝てますね。

無理矢理削る.JPG


 逆に、ブロックしに来る生物を《ゴブリンのそり乗り》によるパンプアップで落とすことで
次のアタックのための道を空けることも、選択肢に入ります。

 ただ、この選択肢にありがちなのが「ブロッカーをどかすためにこちらの盤面も消耗しすぎて
しまい、盤面空いたけどまともなクロックが無くなってしまう」という結果です。
 最初の3~4Tに特化したマナカーブの都合上、一時的にブロッカーをどかしたとしても
そのために相手に延命を許してしまえば最終的に盤面負けしやすいですし、
盤面的に引き分けて更地でのトップ勝負になったとしても、相手のライフに余裕を残して
しまっていれば、勝利は難しいでしょう。

失敗例.JPG


 結局のところ、その場の盤面なり相手のライフ・手札なりを見つつケースバイケースになります。
 「盤面にコレとアレがいれば必ずこうする」という決まった公式があるわけではありません。
 焦らず悠長せず、「この行動をして、最終的にどう削り切るか?」を組み立てながら考えましょう。

※大体除去されますが、《火花鍛冶》が除去されず安定稼働できそうであれば
 ボードアドバンテージ勝ちを狙いに行く場合もあります。
 わかりやすい例だと、緑白スリヴァーなどには《火花鍛冶》を置けているなら
 無理せずガリガリ盤面削って殴り切る方がいい場合が多いです。


 なお勿論ですが、ボードアドバンテージを失わずに削り切れそうならその方が良いので、
「無駄に投げ捨てるのではなく、必要なだけ捨てる」ことも肝心です。
 調子に乗って盤面を投げ捨てたところで除去やら回復やら軽減やら合わされて
火力呪文圏外になってしまうと、多くの場合は詰んでしまいます。
 その辺の具体的な駆け引きやリスク勘定は、pauperそのものの経験を積んで
「この相手が何をして来るか?」を学んでいくしかないでしょう。

 また、上記の話とは関係ないのですが、このカードの強みはそういったコンバット管理だけでなく
「擬似的な速攻付与」にもあります。
 つまり、「出したばかりのクリーチャーを食べることで、そのターンのダメージに参加させる」ことが
できるということです。
 具体的に言うならば、例えば《モグの戦争司令官》とそのトークンをその場で全て食べて
アタック通ったところに乗せれば、実質的に3点分の速攻アタッカーを出したのと同じような
ダメージ速度になります(とはいえ生贄で死ぬため、《ボール・ライトニング》などの
歩く火力に近いですが)。



5.《モグの戦争司令官》について


 特段理由がなければ、基本的には出すのは後回し
(流石に《ゴブリンの奇襲隊》よりは前ですが)の方が
基本的に強いです。
 エコーを払わない場合も多いですが、エコーを払うという選択肢があることがこのカードの強みでもあるので、
その選択肢を残せるよう1マナ域や《火花鍛冶》などの展開を済ませてから置いた方が選択肢が広がることが多いため。

モグの戦争司令官.PNG

 具体的には、エコーを払う主な理由は以下になります。
・布告潰し
・バウンスで狙いたくないアタッカーとしての確保
・死ぬ前提でのアタック参加回数の確保
・死亡時トークンを、そり乗り生贄などでもっと良い時に出したい
 (《鋳造所通りの住人》のパンプ、ブロッカー確保など)

戦争司令官の強み.JPG

 また、上記の話とは関係ないのですが、死亡時に出るトークンは速攻を持たないので、
《ゴブリンのそり乗り》がいる&エコーを払う気がない場合は、《モグの戦争司令官》を置いた
次の相手ターンのエンド時にでも生贄にして死亡時トークンを出しておいた方が、次のターンに
殴れるクリーチャーが1体増えます。



6.サイドボーディング(IN)

《電謀》

電謀.JPG



 同型、フェアリー、エルフ、呪禁オーラなど、タフネス1が多い相手に。
 フェアリーは《フェアリーの決闘者》など《電謀》が刺さりにくい生物編成が多いものの、
《呪文づまりのスプライト》がガン刺さりしてしまい、それに対する対策として強いです。




《鋭い痛み》

 

鋭い痛み.JPG

 

 《一瞬の平和》《赤の防御円》《虹色の断片》などの軽減呪文に。
 こういうカードには、1戦目でその対象になる呪文を見ていない限りどうしても裏目のリスクは
あります。白相手に入れるのはいいとしても、緑相手に入れると軽減呪文ではなく回復呪文で
アグロ対策をしてて裏目を見る…という場合もあります。
 ただ、そり乗りなどを使ったところに軽減呪文を合わせられると完全に詰んでしまいがちなのと、
ある程度のサイズの生物並べる相手に回復呪文使われると無駄杯の有無に関係なく負ける場合も
あるため、その辺のリスクを考えつつ、まだ見えていない軽減呪文を見据えて差すかどうか
考えるのがいいでしょう。




《紅蓮破》

紅蓮破.JPG



 青全般に。
 説明の余地なくただ強いだけのカードなので、ここでの説明は省きます。




《粉々》

粉々.JPG



 親和、ボロスキティなどアーティファクトを活かすデッキに。
 《尖塔のゴーレム》が憎い場合も強いといえば強いのですが、多くても4枚しか入っていない&
彼が強いのは島4以上の場合である(つまり遅い)ため、抜きたい枠がなければ入れなくていいです。

 《ゴリラのシャーマン》との採用選択には明確な正解はなく、以下の差異から判断して選択する
形になります。(《粉々》目線で記載します)
 ・単純に本体3点火力としてトドメに使える
 ・《コーの空漁師》対応で《予言のプリズム》を割って、ボロスキティのテンポを削げる
 ・トロンの《探検の地図》《予言のプリズム》を狙って差す選択肢を持てる
 ・ファクトは何でも狙えるため、変なローグに対応できる可能性がゴリラより高い
 ・生物でないため各種1マナ域と噛み合わず、火力にはなるが盤面の助けにはならない




《シルヴォクの生命杖》

シルヴォクの生命杖.JPG



 同型、バーン、アグロなど相手に。
 アグロ相手に差すかどうかは、こちらのデッキ構成や相手がどんなアグロかにもよるのですが、
少なくとも上記のリストであれば《火花鍛冶》を強く使いながらこれでライフルーズをごまかして
勝ちやすいので、入れたい場合が多いです。
 また、ただのライフ回復カードとしての役割が9割ではありますが、弱い《骨断ちの矛槍》として、
タフネス2~3のブロッカーを乗り越える助けとする目的で差すこともあります。




《倒壊》(参考リスト外)

倒壊.JPG



 トロン、バウンスランド、遅めのデッキ、色事故誘発させたくなるデッキ相手に。
 流石に後手ではトロン以外には使いませんが、先手の場合は序盤にモタつきやすいデッキ全般に
刺さります。
 ただ、《アーカムの天則儀》時代と比べて序盤にモタつくデッキが減ったことから、
相対的に採用価値は落ちたと言えます。




《炎の斬りつけ》(参考リスト外)

炎の斬りつけ.JPG



 親和、尖塔のゴーレムなどに。
 タフネス4というのは《ゴブリンのそり乗り》を使っても相当消耗しないと潰せないので、
そのサイズが気軽に出てくるようなデッキ相手に差したいカードです。
 単にブロッカーをどかしたいだけであれば《稲妻》と大差ないため、狙った相手が出て来ずとも
ノンクリーチャーでない限り腐らないのが強みです(そのため、メイン採用される場合もあります)。
 また、一部コンボデッキなど除去の重要性が高いデッキ相手に、単純な追加の除去として
入れることもあります。



7.サイドボーディング(OUT)

《火花鍛冶》
 焼きたい生物が全然いない状況や、自分のライフルーズを許容できない状況であれば、
ただの2マナ1/1なので弱いです。
 生物焼くメリットより自分のライフが削れるデメリットの方が大きい相手や、焼きたい生物が
あまりいないデッキ相手には抜いた方がいいでしょう。
※そもそも最初からメインとサイドで散らすリストや、採用枚数を抑えたリストも多々あります。

《ゴブリンの踵裂き》
 《火花鍛冶》と似た話で、わざわざ彼を使ってまで無視したい面倒なブロッカーがいなければ、
必要性は薄めと言えます(一応3点クロックになるので、無駄牌という程ではないですが)。
 ただ、彼にはブロッカーの無視以外にも「毎ターン生物を着地させることで1マナアタッカー陣の
能力を誘発させる」役割もあるので、それができなくなるリスクを鑑みた上で判断しましょう。
※そもそも最初からメインとサイドで散らすリストや、採用枚数を抑えたリストも多々あります。

《鋳造所通りの住人》
 大事な1マナ域生物ではあるのですが、やはりタフネス1なのが痛いです。
 特にサイド後は、《電謀》《減縮》などウィニー対策がモリモリ出てくるため、
そこで巻き込まれやすいという課題があり、抜ける候補としての優先順位は高めです。
 また、他と比べて先手後手で強さがより大きく変わってしまうカードなので、
「後手だから抜く」場合もあります。

《モグの戦争司令官》
 あまり抜きたくはないのですが、以下の状況なら減らすのも選択肢に入ります。
・これを使った小手先のコンバットなどがあまり有効でなく、もっと良いサイドカードがある場合
・サイドから《倒壊》を入れたいので少しマナカーブを下に寄せたい場合

《ゴブリンのそり乗り》
 あまり抜きたくはないのですが、複数枚被った場合にただの1/1に成り下がりがちなので、
除去があまり多くない相手にサイドで1~2枚減らす場合もあります。
 ただし、
 ・先述した《電謀》《減縮》への耐性
 ・サイドから追加されやすい絆魂や《堕落の触手》を生贄によって回避
 ・サイドから増量されやすい軽量除去に合わせた生贄で無駄死にさせず有効活用
 のためにこのカードが役に立つ場合は多いので、抜きすぎには注意しましょう。



8.おわりに

今回は使い方が間違えられがち/対戦相手にも誤解されがちなカードに絞って解説しましたが、
どのゴブリンも使えば使う程味があり、一度握って回してみれば愛着が湧いてくることかと思います。

また、
・"悪忌の甲羅は、下り坂をまっ逆さまに転がり落ちながら突撃を仕掛けるときのいい守りになる。"
・"そり遊びしようぜ。やり方はこうさ。お前がそりだ。"
こういった知能指数低めのフレーバーテキストも、ゴブリン種族が愛される所以です。
デッキに採用するカードを選ぶ際には、そういうところにも目を光らせてみてもいいかもしれません。

それでは皆様、良いゴブリンライフを!


 

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