















人はうまぶった数だけ勝てる!?Pauper 青赤デルバー使用ガイド
1.青赤デルバーって?
この記事ではPauperで青赤デルバーの紹介をしていきます。巷では氷雪フェアリー、青赤フェアリー、
GoldfishではIzzet skredなんて呼ばれてるものです。今回は青赤デルバーと統一していきます。
レガシーでも人気の《秘密を掘り下げる者》を使い、《対抗呪文》などでバックアップする
クロックパーミッション。それがPauperのデルバーと呼ばれるデッキの特徴です。
Pauperではデルバーと呼ばれるデッキが何種類かあります。代表的なものが、テンポ損なしの青単、レガシーでも人気の《グルマグのアンコウ》が頼もしい青黒などが挙げられます。どちらもクロックパーミッションしてそうですね。では青赤デルバーはと言うと、ミッドレンジ域の動きに重きを置いたデッキとなっています(図1)。
実はクロックパーミッションとは呼びにくいデッキなんですね。

2.このデッキ何がいいの?
青赤デルバーの一番の特徴は、青単にはない除去スペルの採用です。
信頼と安心の三点火力である《稲妻》、基本地形を冠雪の土地にすることで氷雪パーマネントの数だけダメージを与える《雪崩し》をメインボードから採用しています。《雪崩し》は《グルマグのアンコウ》や《宮殿の歩哨》のような《稲妻》一枚では除去できないカードにも対処できる優秀な除去です。
さらに赤いカードならでは優秀なサイドボード候補があり、デッキの柔軟性は大きく上がっています。
クリーチャーに目を向けていきましょう。
条件が揃えば対戦相手の呪文を打ち消すことができる《呪文づまりのスプライト》、2マナ1/3という頼もしいスタッツと呪文のサーチが可能な《ボーラスの占い師》、1マナ域には優秀なフェアリー、デッキの名を冠する《秘密を掘り下げるもの》というラインナップ。
そしてこれらの生物を使い回しながらカードが引ける《深き刻の忍者》の存在はデッキの動きをとても楽しいものにしてくれます。《深き刻の忍者》を守りながら、火力で道を空けてあげるのがこのデッキの基本的なプランとなりますね(図2)。
さらにドローソースもレガシーでお馴染みの《渦まく知識》《思案》《定業》が揃っており、場面毎に必要なカードにアクセスしやすくなっています。

2019年5月30日の禁止改訂でPauper界のエナジードリンク(自称)の《噴出》、オールイン絶対許さない《目くらまし》の禁止はまさしく環境の大変動でした(図3)。
特に《噴出》の禁止はこのデッキのパワーを落とすことになりました。現在は抜けたカードを補う形での運用になりますが、根本的なプランは変わりません。

3.このデッキの何がダメ?
ここまでは良い面の話。次にデッキのダメな面に触れていきます。大きく分けて、土地、プレイング、そして今の環境に目を向けていきつつ、それに対する言い分も話していきます。
土地のタップインは我慢
まずは土地の面から。Pauperというフォーマットにはデュアルランドやショックランドのようなアンタップインの二色地形がありません。よって多色デッキにはテンポ損という明確なデメリットが存在します。当然、青赤デルバーもそのデメリットを受けています(図4)。

青赤デルバーはドロソ最強!除去優秀!まるでレガシーみたいだ!なんて言われ方をしますが、所詮Pauperのデッキです。テンポ損しまくります。特に《渦まく知識》を使った後のシャッフルに1マナかかるのがレガシーとの大きな違いでしょうか。この1マナのせいでアクション数に大きな制限がかかります。
幸い相手のデッキもPauperのデッキなので、多色デッキであればこちらと同じくらいのゲームスピードです。それに各ターンごとに置く土地に気をつけていけばこのストレスは大きく軽減することができます。
-
使うからには要練習
次にプレイングの面。基本的にオールインは避けて、相手の手札を常に考えてケアながらプレイする必要があります。また、《ボーラスの占い師》や《呪文づまりのスプライト》は決して万能なカードではありません。手札にあるカードをどれだけ損せずに運用できるかはプレイヤーの実力次第です。当たり前かもしれませんが適当に回すと簡単に負けます。
自分でも回してるとミスったなぁと思う場面がいくつかあったりします。一応、簡単なプレイ方針と各マッチでケアすべきカード出す予定です。
-
環境は追い風か!?
最後に環境。《噴出》以降(もしかしたら撃退参入時くらいから)、このデッキは向かい風となっています。最近の理由は皆さんご存知《アーカムの天測儀》です。青赤デルバーはプレイングを意識しながらアドバンテージを得るデッキだとするなら、ジェスカイ氷雪のようなデッキは自然とアドバンテージを稼ぎやすいデッキ構築となっています。私も何度もマッチアップしていますが正直きついです。こればっかりは環境に文句いうしかないですね。もちろん勝てないわけではないです。環境のどのデッキを相手にしても十分に戦えて勝てるデッキパワーを持ってます。Pauperを心行くまで楽しめるデッキと言えるでしょう。
10月21日の禁止改定で《アーカムの天測儀》が禁止になりました。ジェスカイ氷雪はたぶん環境から姿を消すと予想されます。このデッキにとっては追い風になるでしょう・・・たぶん!
4.メインボード解説
青赤デルバーに入っているカードの顔ぶれは、色んな人のデッキを見て揃って入るものの、枚数が前後しそうなカードをクリーチャー、ドローソース、除去&カウンターに分けて説明していきます。今回は私が最近使っているリストを参考にしながら話を進めていこうと思います。

-
1マナクリーチャーはお好みを選択
1マナ域の候補は《秘密を掘り下げるもの》《フェアリーの悪党》《フェアリーの予見者》です(図6)。
3点クロックでイージウィンを狙えるけどデッキに噛まない《秘密を掘り下げるもの》、2枚目からカードが引けて3種類の中では最も忍者と強いシナジーをもつ《フェアリーの悪党》、占術2が最低限の仕事をしてサイドボードとの入れ替えがしやすい《フェアリーの予見者》。この中からメタゲームや自分の好きなカードを選択する形になります。
《噴出》禁止以前のリストは1マナ域のクリーチャーを合計8枚採用していましたがが、私は少し減らして6枚にしています。

-
ドローソースもお好みで。蓄積した知識の実力や如何に
《思案》《渦まく知識》《定業》が合計8~9枚ほど入ります(図7)。人によって、《渦まく知識》と《定業》の枚数に個人差が見られます。定業は見れる2枚と最も少ないですが、不要牌を弾けるので堅実です。
対して《渦まく知識》はデッキに戻した弱い二枚を、何かしらの手段で弾く必要があります。《ボーラスの占い師》や、《進化する未開地》などのシナジーがある《渦まく知識》を多めに採用するのが私の好みです。

そしてこのデッキの最大の問題児(たぶん)である《蓄積した知識》です。
《噴出》禁止後、優良なドローソースとして目をつけられたこのカードですが、色々と問題が多いです。
1枚目がとにかく弱い、スロットを4枚とられているせいでサイドボードの入れ替えがやりにくくなった、という点です。一応、2マナ立てて《対抗呪文》や《呪文づまりのスプライト》を構えたふりをして相手のエンドフェイズに使うという動きはできるようになりました。これは《噴出》ではできなかった動きです。
私は良質なドローソースをいつでもお待ちしています。
-
除去は7~8枚くらい。カウンターはほどほどに。
《稲妻》《雪崩し》の合計は7枚か8枚です。これはメタに合わせて変える形になると思います。
エルフやストンピィのようなアグロが多いときは8枚体制、コントロールやトロンが多いときは《稲妻》1枚を《払拭》に入れ替える7枚体制になります。どっちか悩んだらとりあえず相手のライフを詰めることができる8枚体制で大丈夫だと思います。ちなみに《火/氷》も試してみたのですが、おいしく使える場面が特に見つからなかったのでやめておいたほうがいいかなと思います。
カウンターの《対抗呪文》ですが、3枚か4枚かになります。これも完全な好みかなと思います。先述のように、アグロが多いと3枚、トロンやコントロールが多いと4枚になると思います。
5.サイドボード解説
今回紹介するリストでは、あまり尖ったカードは入れていません。デッキの構造がとても丸いので、サイドボードも広く浅く使えるものを用意しました。
Pauperという環境は青と赤が本当に強いので、《水流破》《紅蓮破》は3枚ずつ採用しています。エルフやストンピィや親和などの生物を薙ぎ払ってくれる《渦巻く砂嵐》、とりあえず1:2交換を押し付けて制空権を確保できる《嵐縛りの霊》あたりも鉄板でしょうか。
《残響する真実》の汎用性はかなり高くて、横並びになったトークンの除去から青赤では触れないエンチャント、さらに《雪崩し》で除去できなくなった生物の対処までこなしてくれます。使い勝手のいい呪文なのでお勧めです。
あとは個人の好みやメタゲームに合わせて墓地対策である《大祖始の遺産》やトークンや呪禁持ち生物対策である《電謀》を今回は採用しました。
《ゴリラのシャーマン》や《無効》も採用候補です(図8)。今回は入れていませんが、特定のデッキが多いと感じたなら、《嵐縛りの霊》を減らしたり、《電謀》や《大祖始の遺産》を抜いてそのメタに合わせたピンポイントなカードを採用するのもいいでしょう。

6.簡単プレイングガイド
挙げるときりがないのでいくつか要点を絞って書いていこうかと思います。
-
キープ基準は緩くても大丈夫
土地5~6枚や土地0~1枚のような極端な手札でもない限り、ふんわりとした気持ちでキープしても大丈夫です。ドローソースでクリーチャーや土地など、必要なカードを引き込んで動いていきましょう。
-
土地はしっかり伸ばそう
行動回数は土地の枚数に大きく依存するため、4~5ターン目くらいまではしっかりと土地を伸ばしていきたいです。ただ気を付けておきたいのは土地の置き方です。
1ターン目に《秘密を掘り下げるもの》のようなクロックを置ける場合を除いて、手札にある《進化する未開地》や《灰のやせ地》を1ターン目から処理することをお勧めします。そしてこの2枚で優先的にサーチしたいのが《冠雪の山》です。デッキに2枚しか入っていない関係上、《進化する未開地》や《灰のやせ地》でサーチをしないと火力を打てなくなる危険性があります。
4ターン目に島3枚と山1枚と並べておくと柔軟に動けるはずです。早いターンで山2枚を並べてしまうと《対抗呪文》を構えるのも一苦労になるので気を付けていきましょう。
-
《ボーラスの占い師》は丁寧に使おう
デッキのアドバンテージ兼肉壁である《ボーラスの占い師》のサーチ能力は結構な確率で失敗します。
2ターン目に出すのも強いですが、余裕のある時は《思案》や《渦まく知識》でサポートしてあげましょう。思案で土地やクリーチャーを引いて、3枚目においた呪文を占い師で回収すると無駄がありません(図9)。
《深き刻の忍者》で《ボーラスの占い師》を回収してまた出して・・・と繰り返していくことで相手との手札の枚数差をつけることができます。

-
《呪文詰まりのスプライト》はすぐ死ぬ
《呪文詰まりのスプライト》はカウンターもできてテンポもとれる便利なカードですが簡単に除去されます。このカードでカウンターしたいスペルは場のフェアリーの数-1のコストの呪文がいいと思います。
あるいは、2枚目のスプライトやカウンターでバックアップしながら使うのが裏目がほとんどありません。
やはりこのカードも《深き刻の忍者》で回収して強いカードです。このカードを上手に使えると、かなりうまぶることができますね。
質問として相手のエンド時にこのカードを出すのはどんな時?というのがありました。
基本的には複数枚持っているとき、自分のターンに《嵐縛りの霊》のようなカードを通したいとき、相手から統治者を奪いたいときなどが挙げられます。ケースバイケースでなのですが、相手に動いてほしいときに出すように心がけています。
-
《深き刻の忍者》は確実に使おう
青赤デルバーのだいたいの勝ち方は《深き刻の忍者》で必要なカードを引きながら殴りきるというプランです。しかしながらこのカードも使うタイミングもなかなか難しいです。
使うときの前提は確実にダメージを通せるタイミングで使うことです。対戦相手はこのカードを優先的に除去しようとするのでやはりカウンターによるバックアップ、またはもう1枚の《深き刻の忍者》で場にある《深き刻の忍者》で忍術することで除去を躱せることを覚えておきましょう(図10)。

1ターン目にクリーチャー、2ターン目に殴ってそのクリーチャーを忍術する動きは強いのですが、
少し我慢して使うことも覚えておくといいでしょう。青赤デルバーは《ボーラスの占い師》や《呪文詰まりのスプライト》のように使い回したいクリーチャーがたくさんあります。相手が手札を使い果たしたタイミングでこのカードを使用することで、リソース差を確実につけることができます。
《深き刻の忍者》を使った小テクの1つに1枚の忍者で複数のクリーチャーを戻せる、というものがあります。忍術のコストはマナコスト+攻撃クリーチャーを戻すというものです。《深き刻の忍者》はまだ手札にあるので、忍術で1枚目のクリーチャーを回収後、優先権を手放さずにもう一度忍術で別のクリーチャーを回収、という動きもできます。土地が余ってるときにおすすめの動きなので知っておくといい小テクです。
7.各種マッチアップにおけるゲームプラン
各種マッチアップの相性、カウンターしたいカードと簡単なゲームプランを紹介します。デッキはMTG Goldfishの使用率上位5つ(11月ごろ)を今回は選びました。
-
緑単ストンピィ

相性:きつい
プラン:相手のテンポが良すぎて、展開されるとあっという間に負けます。こちらの火力を《巨森の蔦》で躱されないように《呪文詰まりのスプライト》や《対抗呪文》でバックアップしていきましょう。
《リバーボア》はこのデッキの天敵です。手札にカウンターを持っていたら必ず構えてこのカードを打ち消せるようにしておきましょう。
サイドボードは《フェアリーの悪党》や《対抗呪文》のようなカードを減らして《渦巻く砂嵐》や《電謀》で盤面を更地にしていきましょう。また、《残響する真実》は《吠え群れの飢え》や《象の導き》で大きくなったクリーチャーを戻せるのでとても便利です。
-
ボロス統治者

相性:いい勝負
マスカン:《金切るときの声》、《宮殿の歩哨》、余裕があれば飛行生物
プラン:相手の飛行クリーチャーのスタッツがこちらより大きいですが、除去しながら忍者で殴るというプランになります。相手は《コーの空漁師》や《きらめく鷹》を出すのに少し時間がかかるため、そこを付けこんで攻めていくのもいいでしょう。
《対抗呪文》は《金切るときの声》や《宮殿の歩哨》のように《呪文詰まりのスプライト》で打ち消しにくいカードに取っておきましょう。 Pauperらしい細かいアドバンテージの取り合いを楽しめるマッチアップです。
サイドボードがまた悩ましいのですが、相手も《紅蓮破》や《電謀》を入れてくるのでそれらを躱すために、1マナクリーチャーを抜いて《水流破》や《嵐縛りの霊》を入れたコントロールプランにシフトするのがいいでしょう。
-
バーン

相性:五分五分
カウンター:《貫かれた心臓の呪い》、《焼尽の猛火》、《火炎破》
プラン:基本的には《呪文詰まりのスプライト》でカウンター、《深き刻の忍者》で回収して使い回すプランになります。相手の手札の枚数を気にしつつ、こっちはカウンターを何回使うことができるかをしっかり考えながらプレイしていきましょう。しかしながら、2ターン目に呪いを張られるとだいたい負ける印象です。 《焼尽の猛火》はこっちのクロックとライフを同時に減らしていくので積極的にカウンターしていきたい呪文ですね。相手のデッキ唯一の癒しは簡単に除去できる《熱錬金術師》です。
メインボードの除去が過剰なので、サイドボードでは《雪崩し》を減らして《水流破》を入れておきましょう。手札が溜まった相手との呪文の応酬はとてもPauperらしいですが、心臓によくありません。
-
5色トロン

相性:相手の初手次第
カウンター:《熟考漂い》、序盤の《探検の地図》、《予言のプリズム》
プラン:相手の徳が高すぎて毎回3ターン目にトロンランドが揃って《熟考漂い》出てくるとだいたい無理です。そんなこと言って腐っても仕方ないですね。
相手のデッキは色マナを《予言のプリズム》やフィルターランドで供給しているので、序盤の《予言のプリズム》を打ち消しておくとかなり楽にゲームが進みます。相手が色マナをいくつ出せるのか考えながらプレイしていきましょう。早いターンにクロックを置いて、ライフを詰めていきましょう。
サイドボードでは、いまいち刺さらない《稲妻》を減らして、《熟考漂い》や《記憶の壁》などに対応するために《紅蓮破》を入れましょう。余裕があれば相手の《紅蓮破》や《とどろく雷鳴》対策に《水流破》を1枚くらい入れておくのもいいでしょう。
-
親和

相性:超しんどい
プラン:最近当たるたびに負けます。2ターン目に《エイトグ》出されるとこのデッキで処理するのはほとんど無理ですね。《マイアの処罰者》などの4/4が並びだすと手が付けられません。
サイドボードはあってる自信があまりありません・・・。とりあえず《エイトグ》用に《水流破》、《物読み》用に少しだけ《紅蓮破》を入れましょう。
あとは《渦巻く砂嵐》で盤面を更地にするのがサイド後の主なプランになります。かなり勝ち筋が細いのですが、《ゴリラのシャーマン》を入れていないので仕方がないですね。
8.最後に
以上で簡単(?)なデッキ紹介を終わろうと思います。プレイの選択肢が多いデッキなので友人に後ろで見てもらって、「あのターン自分ならこうする」というようにディスカッションのネタにもなります(図16)。そういうやり取りをするのが好きな人にはお勧めです。

Pauperは外から見たらプレインズウォーカーがいなくて地味に見えるかもしれませんが、スペルの応酬と細かいアドバンテージの取り合いが非常に魅力的なフォーマットです。Pauperで強いドローソース使いたい!うまぶりたい!という人はこのデッキをみっちり練習すれば大いに楽しむことができます。このデッキ紹介を見て、少しでも青赤デルバー人口が増えればいいなあと思います。
ではでは